【ユーザー参加企画★リレー小説】イブに初デートしたらヤバい世界に飛ばされた件

【フェン03】コロナックル

エピソードの総文字数=2,400文字

【フェン02】 米洗 ミノルさんの続き    コロナックル
2017/12/08 12:36

corona

足場の悪い森の小道を抜け石造りのアーチをくぐると、石造りの家々が建ち並ぶ少し大きな街に出た。足下には石畳。


石をメインとして造られてはいるが、冷たいイメージではなく街の中央には噴水広場があり、近くには樹や色とりどりの花植えられている。


その中の奥まった小さな一軒家ーーそこが彼の家だ。

corona

「………………!」
通された部屋の片隅にある暖炉の前で、フェンは1人、顔を赤らめて座っていた。


フェンと少し距離をおいて、ビヨーンと伸びたサイズから通常のサイズに戻ったフェレットが、寝そべってくつろいでいる。

corona

「これって……やっぱりお持ち帰りだよね」
「きゅう!」
かわいらしい声で、フェレットが鳴いた。

お返事してくれるなんて……。あーー、もぉ可愛いーー!

モフモフしたい。

corona

ーーーー!

じゃなくて……情報を引き出すためとはいえ、もしかしてこれはマズイんじゃないかな。

corona

ギン……!

どこにいるの?

corona


コトン

corona

飾り気のない白のマグカップが、丸テーブルの上に置かれる。

corona

「どうぞ」
「ありがとう」
「ふ~ん、ふ~ん、ふふ~ん♪」
「ね、ねぇ!……これ、なに?」
目の前を鼻歌を歌いながら、ふよふよと飛んでるものについて尋ねる。

corona

「妖精だ」
「はぇぇええええええええ!?」
よよよ、妖精!?

妖精って、ファンタジーでフワフワしてる感じのーーあの妖精?

corona

「きゅっ?」
「そんなに驚くことかなぁ。『ペルトガ』だよ」
pipipipi、pipipipi

corona

「沸いたみたいだな。冷めないうちに、お風呂入ってきなよ」
「おおおおおお、お風呂ーー!?」
顔を真っ赤にして後ずさる。心臓の鼓動が速い。

たぶん耳まで真っ赤。今なら、使ったことのない炎の魔法も、できそうな勢いだ

corona


お持ち帰りでお風呂と言ったら、その先はーー!

corona

「なぁ。さっきから顔赤いけど、熱でもあるのか?」
言い終わるころには、彼の顔はフェンの目の前10センチくらいの距離にあった。

corona

(ち……ちかッ!近いからぁぁああああああ!!)


さらに上がる熱にクラクラする。

corona




ーーーーギン!




corona

熱で、ボーッとする頭に思わず浮かんだ名前。

今はいない、私の大切な相棒ーーーー。

corona


コツン

corona

「すごい熱じゃないか。少し待ってて」
額を合わせて熱を測った彼は、慌てた様子で部屋を出ると、どこかから大量の毛布のようなフワフワな布を持ってきた。

corona

「きゃッ!きゃぁぁああああああああ!!」
「ちょ、あ、暴れないで!」
いきなり、お姫様だっこをした彼の手から離れようとフェンが抵抗して暴れる。

corona

「いやーー!人さらいーーーー!!」
「人聞きの悪いこと言わないでッ!ベッドn……」
ベッ、ベッド?

ウソでしょ。ポワポワしてるのに……手速すぎーー!

corona

(FーーーEーーーN!)
なんでよ!

なんで変身できないの!?

corona

変身さえできれば、こんな遅れなんて……!

corona

「降ろしてってばッ!」
!?

「えっ?でも、その熱で歩くのは危ないよ」

!?

(えっ?ね、熱?)

うわぁぁあああああ!!

なんて勘違い。ごめんなさい、ごめんなさい。

手の速いポワポワとか思って、ごめんなさい!

corona

「ごめんなさい。大丈夫だから降ろして。恥ずかしいし……」
「そう?辛かったら言ってね」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

◇◆◇◆◇◆◇◆

corona


ポムポムッ!

何かが布団ごしに軽く叩いている、その刺激で目が覚める。

corona

「ーー妖精……さん?」
「ご飯できたけど起きれる?」
ドアの横からピョコンと顔をだす彼の姿に、慌てて起き上がる。

corona

丸テーブルの上には雑炊と……マスカット色したイチゴ?らしきものが用意されていた。こんな品種みたことない。ここが、どこかわからないけど私の知ってる世界じゃないことを思い知らされる。

corona

「これ、あなたが?」
「いや、ノアが」
「ノア?」
「……妖精の名前」
~♪
「ありがとう、ノアちゃん」
クルクルとフェンの周りをまわるとチョコンとフェンの膝の上に座る。
クリスマス仕様なのか赤い帽子と緑の服を着たノアが、全身でほめて、ほめてと言ってるようで可愛い。フェンが帽子ごしに頭を撫でると満足したのか、ふよふよと飛んでいった。

corona

「ノアって家事できるの?」
「……家事用のペルトガだからね」
当然のことのように答える彼。

メイドさんのような感じかなぁ。ここでは普通のことみたいね。

もとの世界では、メイドさんなんて1部のお金持ちだけと思っていたけど。

corona

「ペルトガって、いつ頃から普及し始めたんだったっけ?」
きゅう!
「星蔭暦892年ころかなぁ」


(星蔭暦!?なに、それ)
「680年ころから仕事での人手不足が深刻になったじゃない?」
「うん」
過去ならグレゴリオ暦とか太陰暦とかだと思うんだけど……未来?

彼の言う話は、まったくわからないけど、現状を知るには必要なことよね。

corona

「そこからペルトガが広がったんだけど、新しい問題が出てきてね」
「労働環境とか、人の仕事がなくなるとか?」
「うん。ペルトガは長時間労働でも人と違って文句を言わないし、優秀だ」
「大部分の人達が職を失い、ペルトガにも感情が芽生えはじめ……」
「人とペルトガとの対立を生んだ?」
今の世界でもAIに置き換えれば、起こり得る未来の1つのような気もするけど……。

corona

「あなたもペルトガ?」
「いや、僕はーー」
「ごめんなさい。言いたくなければ無理には……」
「ーーーーそうしてくれると助かる」
「人とペルトガの対立って、まだ続いてるの?」
「うん。もう戦争も終わってるし、薄れてはきてると思うよ」
「せっ、戦争ー?」

「あぁ、100年前くらいに……!」

(だから知らないのか)

「君は、最新式だから組み込まれてないのかもしれないね」
「えっ?」
「これ以上の対立の激化を防ぐために、過去の対立を組み込んでないペルトガが一定数いるから」
いい方に誤解してくれたもののーー。

ポワポワした雰囲気とは裏腹に、なんでそんなこと知ってるんですか?この人。


聞けば聞くほど、よくわからない現状にフェンは頭を抱えていた。

corona

【フェン03】   おわり

corona

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