いかに主は導きたまうか。

2.3 Never Gonna Give You Up 離別と再会。

エピソードの総文字数=2,177文字

  彼女はボクがアメリカに留学すると聞いて、どう思っただろう?...羨ましく思ったと思う。「もし私に、あのお父さんが付いていてくれたなら、きっとイギリスにでも留学してケンブリッジぐらいには入れてたかも」ぐらいは心の底で思ったのではないだろうか...。これはボクの想像だ。とても素敵な想像だ。そうであってくれたなら、とボクも思う。そうであってくれたなら彼女はきっと幸せであったと思う。未来になんの不安も思うことはなかってあろう。

  しばらく会えなくなることを知ると彼女はショックを受けていた。出発日時を決めてからもデートは週一で続けていた。会う度に寂しい思いを二人して感じていた。「夏休み、冬休みには帰ってくるからね」などと言ってはみたものの、遠距離に耐えられる人ではないことは明らかだった。しかし彼女は平静を装っていた。ボクは何か新しい現実を切り開くことになるようにと、この留学に期待をかけていた。卒業してタイトルをとることよりも、本場の英語を習得し、またアメリカの精通者となれることを漠然とした目標にしていた。彼女の為にも、との焦りを感じていた。ボクは約束通り年に一、二回は日本に帰った。その時の彼女の様子からは、やはりとてもストレスを感じているのが分かった。言葉としてもはっきり言われた。「保(も)たない」と。「ごめんね」を伝えるしかなかった。そしてあの霊能者の先生のところに連れて行かれた。あの日の帰りは二人ともあまり言葉は交わさなかった。特にどうこうの話、動きはなかった。彼女のなかでも、ハイそうですか、ではお言葉のようにという訳に直ぐにはいかなかったのだろう。そしてまたボクはアメリカに戻って行った。

  ある日にボクはアメリカから彼女に電話をかけた。父に伝えたように「世界が観えた」と興奮して話していた。『F村君、頭だいじょうぶ?』。要らぬ心配をかけてしまう。この次の電話で日本に帰ると伝えていた。帰って直ぐのデートは夜だった。彼女の車で御堂筋を走っていた。多分、新大阪にボクがいたので迎えにきてくれてそのままデートをしたのだと思う。流れ的には、以前のボクであれば制御不能なまでにギクシャクしたものになったであろう。何故なら彼女の期待や思い込みは、あの先生によって完全に解除されていたのだから。彼女は危ぶみながらボクの様子を伺っていた。「でっ、何があったん?」とまずは訊かねばと思っていたのだろう。場合によっては、これで本当に終わりになるなぐらいの深刻な展開を覚悟していたのだと思う。ところがだ、ボクは何と高速から見える測道に立ち並ぶビルの看板をそれは楽しそうに、まるで生まれて初めて目にしたかのように眺めては読み上げ、なにかとコメントを言い出したのだ。[回生病院]....「ん?」........「ここの病院すごいね〜」とか。いや、何か誤摩化そうとしていたとか、ふざけていたとかじゃあ全然なくて本当に素で新鮮に感じていただけだった。本当に感心していた。少し脱線にはなるが、帰国してから感じたことを話そう。先ず、時差ぼけならぬ空間ボケに悩まされた。何か少し次元がズレた所に自分が存在しているみたいな....。『なんじゃこれ〜???、馴染まな〜い、違和感が絶えな〜い、ズレてる〜』てな感じだった。田舎から都会なんてものじゃない。極端に言えば、どこぞの星からここ地球にやってきたぐらいの落差を感じていた。(これは本当に数ヶ月続き、一年間はアメリカでの記憶のフラッシュバックで悩まされる)。まあ気にしないで街に出てみた。いろいろ前とは違う感じ方だな〜と思うことがあった。興味深かったのは街に溢れる広告コピーと本屋に入って見た並ぶ本の背表紙にあるタイトルだった。「みんな表してあるやん」「言うてもうとるやん」とか言っていた。そのものの正体がハッキリ堂々と元々、表に書いてあると。当たり前の話なのだが、良し悪しの本質が既に表にハッキリと出てしまっていることに改めて気付いたのだそうだ。閑話休題、変によく喋るボクをみて、彼女は想定していた流れを覆され、改めてボクをよく観察しだす。言っていることをよく分かろうと注意をそそぐ。そして、これは悪い意味ではないが異常ではあると判断をする。ボクはアメリカであったことをザックリ話した。そして尚子さんのこと、聖書を読んだことなどを....。なにかピンと来るものがあったのだろう、そして、なんと彼女は怒ったのである。『なんで私に、これが起きないのよ!』っと。しかし、今もいつも居られる方を意識して(ハットして)、すぐに口をつぐんだ。ボクは申し訳ないという思いしかなくて何も言えなかった。その日は、なにやら不穏で危ういムードの二人を一挙に違う流れへと向かわせる機会にはなった。

               〈終幕〉

御断り:

始まりにも申し上げましたが本エピソードに関わることの多くが抜けています。要らないのかもしれないと思った。いつか彼女の了解がとれたらまた考えようと思います。

この後、あったことではボクは結婚をしたい人がいると両親と彼女を引き合わせます。これも割愛します。あの母は彼女と会ってみて「私とそっくり」と戯けた感想を述べました。父は不服ではあるが、彼女は認めていたとボクは見ました。

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