黄昏のクレイドリア

5-4

エピソードの総文字数=1,432文字

此処が……

ロージアの門を出て、馬を出せば日の位置も

さほど変わらないであろう程の距離に、

件の塔は建っていた。

10階分ほどの高さの塔を観察しつつ、

脇道の茂みに伏せながら、

カノンは思案していた。


この塔にどう侵入するか、

そして、もうひとつ――

それで、いつまで
あたしの後を尾けてるわけ
…………。
せいっ
いてっ!?

カノンが手元に落ちていた石ころを

茂みに投げこむと、

昨日路地で出会った少年が、

頭をさすりながら姿を現した。

痛ッてぇじゃねーかボケ!
一回で出てこないからよ。
……で、何か用?
もし仕返しか何かだったら、
日を改めて――――
ち、ちっげーよ!
オレ様はそんな小っせー器じゃねーっての
ふーん、……悪いけど、
こっちは忙しいから、構ってる暇はないわ。
だーかーら、そうじゃないっつーの。
…ねーちゃん、どーせ
塔にどうやって入ろう~とか企んでんだろ?
まぁ、そんなところだけど
よっしゃ!それならオレを雇えって。
塔の逸話から侵入まで、きっと役に立つはずだぜ?
…いくら?
銀貨3枚!
うーん、1枚なら出す。
うぐ…………わかったよ
少年は銀貨をカノンから受け取ると、
にやりと笑みを浮かべながら、懐にしまいこんだ。
へへっ、まいどあり!
んで、ねーちゃんも塔のカラクリを
知りたくて来たクチか?
? カラクリ?

あり、なんだ、知らねーの?

この供犠の塔……ってのは知ってるよな

ここはさ、単純に祈るためだけの場所じゃない、塔自体にシカケがあるってハナシだよ。

月の民が、故郷の月に帰る為に建てた……アーティファクトだって言われてる。

アーティファクト……。

今じゃ祈りの儀式以外……しかも関係者以外は入れねーみたいだけどさ、せっかく足を運んだからには、ウソかホントか……どんな構造になってるか気になるじゃん?


だからオレの神業でちょちょーっと中を見ようと

…で、もし街の人間にバレたら
あたしを身代わりにする魂胆ってわけね
…………。
(図星か……)
……まぁ、ちょっとそのまま
黙って身を潜めてなさい。
え?

カノンに腕を引っ張られ、

言われたとおりに少年は茂みへ体を伏せる。

すると程なくして、一台の馬車が塔の前までやって来ると、荷台から複数の人影が立ち上がった。

(あれは……)

その人影は、少し前にカノンがこらしめた追いはぎ達だった。


一人が御者となにやら口論をしているようだったが、それが収まると、手に縄をつけられたまま、ぞろぞろと開かれた塔の中へと入っていく。

彼らが塔へ入ったことを確認すると、

御者は馬車と共に、塔を後にしていった。

はぁ~?どういうことだよ、
なんで罪人が塔に入れられてんだ?
……キナ臭くなってきたわね
……って、おい、どこ行くんだよ?
ロージアに戻るのよ。
単身で突っ込むには準備が足りなすぎる
単身……って、
おい、オレは無視かよ?!
あんたは純粋に、塔の中を見る事が目的だったんでしょ。
だったら悪いことは言わない。
今回は……少なくとも今夜は、塔の事は諦めなさい。
…………。
……話が見えねーけど、
面倒事なのは間違いなさそうだな。
察しがいいわね。だから――
だったら尚更、オレにもう少し銀貨を恵んで、
ねーちゃんの手駒にすればいいと思うけどな。
それは……
おっと、子供だからどうこうってのはナシだぜ。
元々オレも塔に用があったことには変わりねーんだし、
金を貰った以上、仕事はキチンとする。
そうやって生きてきたからな。
…………。
……わかった。
あたしはカノン。あんたは?
オレはセシル。よろしくな!
それじゃーさっさとロージアに戻って、
作戦会議といこうぜ!

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