作品詳細

ポポププ ―ポスト・アポカリプス・プリンセス―

62|ファンタジー|連載中|8話|8,283文字

ポスト・アポカリプス, 日常, オリジナル, コメディ, ファンタジー, 脳内妹, 教祖, みんなおかしい, きゃらふと大賞

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滅んだ世界。姫君たちは救いの塔に集う。
ポスト・アポカリプス日常譚。


 20XX年、世界は崩壊の波に飲み込まれた! だが人類は滅んでいなかった!
 涼一は頭のなかにいる幼い妹とともに、汚染された水を寿命の延びる水と称して売ることで生活していた。
 身を寄せていた村が死滅した後、彼は天に向かってそびえ立つ塔【バベル】に辿り着く。
 そこでは【救世姫】を崇める数少ない避難民と、姫君たちが、救いを求める日々を過ごしていた。
 たぶん。
 求めてたり、求めてなかったり。まあ、だいたいは求めてると思う。

もくじ

登場人物紹介

日塔 祈(にっとう・いのり)

女、20歳。救世姫。
未来視の力があると嘯き、世界救世を謳う。
【バベル】の支配者的存在。
塔(ホテル)そのものは彼女の両親が人類を保護するため建てたもの。
その両親は世界が崩壊の波に飲まれた際、外の人間を助けるため出ていったが結局、誰一人として連れて帰ることはなかった。
両親の意思を継ぎ、人類救済のため塔を開放する。
また世界が崩壊の波に飲みこまれた理由を、大国の毒電波攻撃によるものであるとし、塔の頂上からそれを打ち消す【救世波】なるものを飛ばしている。
なお救世波発生装置は一見すると、普通の傘をただひっくり返してパラボラアンテナのように設置したかのような代物で、事実、普通の傘だが、救世波は出ている。信じる力は無限大だ。安心してほしい。

「さあ、みなさん。今日も祈りましょう。みなさんの祈りが救世波をより強くし、より遠くへ届けるのです。みなで毒電波と戦うのです。さあ、祈りましょう。祈りましょう。わたくしには視えますよ。かつて争うばかりだった人類が、手と手を取り合い、世界の再生へ向かうのが。この塔が、その中心なのです。みなさんが救世主なのです。救世の波を! 世界へ届けましょう。救世の波を! 祈りましょう。さあ、祈りましょう」

水前寺 雫(すいぜんじ・しずく)

女、享年5歳。脳妹姫。
死因は母親に突き落とされたことによる転落死。
兄・涼一の脳内に存在する妹。
その姿は亡くなった当時のままだが精神は見た目に反し大人びたもの。
涼一の妄想の産物なのか、それとも幽霊なのか。
気だるげで人を食ったような話し方。
人っていうか兄。兄しか聞いてないし。
死を撒き散らす兄の行く末をほのかに心配している。
心配だけしている。

「後は野となれ山となれ。おにぃちゃんと人類、どっちが滅ぶのが早いのかな。でも、こんな世じゃなかったら、人類のが長生きだったよね。おにぃちゃんのが長生きしても、結局すぐに、おにぃちゃん死ぬよね。どっちが先でもいいよぉ。勝者のいないチキンレース。ばかばかしくって笑っちゃう。生きるべきは今だけよ。ま、あたし、死んでるけどぉー! 死んでるけれど、あたしは元気です。おにぃちゃんも元気です。元気があればぁ、なんでもできりゅのぉー! キャハンッ☆」

水前寺 涼一(すいぜんじ・りょういち)

男、18歳。シスコン。救いと死の水売人。
両親は崩壊の波に飲み込まれ、互いに殺し合って相打ち。
頭のなかに幼い頃亡くなった妹を住まわせている。
妹の死は認識しているが今は生きているんだなあと思っている。
また妹は当然、他人に見えないが涼一は単に人見知りだと思っている。
汚染水を寿命の延びる【三年水】と称し売ることで生活している。
崩壊後に身を寄せていた生存者たちの村が滅び(その寿命を縮めたのは間違いなく涼一の【三年水】である)移住先を求めて【バベル】に流れ着いた。
寿命を縮めかねない汚染水を売ることについて罪悪感はない。
むしろ、この腐敗した世界で無駄に生き永らえなくてよかった、また1ついいことをしたとさえ思っている。

「延びるよー、超延びる。ほったらかしたソーメンみたいに延びるよー。1ボトル(345ml)につき1食ね。3ボトルで3年延びるよー。――この腐敗した世界で、そんなに生きたくもないけどね、ぼくは。苦しいだけでしょ。でも、ぼくが死んだら雫ちゃんが泣いちゃうからね。実は泣き虫なんだ、雫ちゃん。うぇんうぇん泣いちゃう。一回死ぬ前も泣いてたなぁ。だから死んじゃったんだ。だから長生きしないとね。また死んじゃう。かわいそうだろ。だから水を売っているのさ。ウィン・ウィンだーねー」

追川 実子(おいかわ・みのりこ)

女、22歳。真実姫。
世界崩壊の真実を解き明かし、世界再生を目指す自称ジャーナリスト。
愛書は老舗オカルト雑誌メガラニカ。
【バベル】こそが世界を崩壊させた元凶で、救世波と崩壊の波は同じものだと考えている。
世界が崩壊した今でもバベルが崩壊の波を飛ばし続けているのは、現状はまだ世界規模で見れば人類も充分に生き残っており、完全な終末ではないからに違いないと考えている。
このままバベルを放置し【真の世界終末】が訪れたが最後、世界再生の芽は完全に絶たれてしまう。
そう考える実子は定期的に塔の外へ赴き、打倒バベルのための武器や食糧の備蓄を図るのだった。

「狂祖祈と、その死ん者たちの思い通りになどさせてなるものか。人類を、世界を、絶滅させた先にあるものはなんだ。ただの空虚。無意味。自分たちが絶滅したいだけなら自分たちだけで勝手にやっていればいい。世界を、人類を、アタシを巻き込むな。だが今はまだ時が悪い。急がなくては。しかしここは敵地も同然だ。アタシしか世界を救える者はいない。失敗の許されない獅子身中の虫。急げ、しかし焦るな。必ず奴らにも綻びがあるはず……。アタシが世界を救わなくては。失敗は許されない。世界再生の時を一刻も早く。しかし今は、まだ」

毒島 朗香(ぶすじま・ほがらか)

女、17歳。腐肉姫。
世界の崩壊の後、内側から腐る病を発症する。
全身に包帯を巻いて腐臭と薬品の臭いがする。
その体臭から(実際には死の現実をつきつけられているようで)忌避する者もいるため、バベル内では浮いている。
バベルにおいて最も死に近い住人。
なれど性格は明るく、前向き。
祈と気が合うのか、よく一緒にいる。

「今日のご飯は、お芋でした。おいしかったです。本当はお肉の缶詰の日にしようかなって思ったけれど、寿命の延びるお水と交換したので、次の配給までガマンなのです。交換してから思ったんだけれど、これって、病気を治してくれるわけじゃないんだよね。でも長生きできたら病気も治るかもしれないから大丈夫。最近、また色んなところが痛むようになったけれど、ご飯がおいしいから大丈夫。おくすり、あとで祈ちゃんにもらお。……パパ、ママ、みんなも大丈夫だよね。わたしが大丈夫なんだもん。世界も大丈夫。わたしより、うんと丈夫なはずだもん。大丈夫、大丈夫」

東尋坊 兎毬(とうじんぼう・とまり)

女、17歳。自殺姫。
世界崩壊以前から熟練のリストカッター。元いじめられっ子。
いじめっ子に復讐してから死んでやるつもりだったが世界が崩壊したことで機会を失い、生きる理由も潰えたのだが、まだ生きている。たまたま生きている。
バベルを【羊どもの墓場】と蔑む。
無駄に生きるくらいなら死んだ方がマシ。
生きるだけなら誰でもできる。
生まれるのは自分の意思で選べないが、死は選べる。
あえて自らの死を選べるのは強者。
などの考えを持つ。
強者として死ぬことを望み、また強者として生きたことの証明として幾度となく自殺を試みているが成功したことはない。
躊躇ったわけではなく、たまたま生きているから生きているのだ。
本人がそう言う以上そうなのだ。

「こんな世界のどこに希望があるというの。救世? ばっかじゃないの。塔に引きこもって祈ったところで世界が救われるはずねーだろ。ありもしない妄想に縋り、憑かれて、それが自分の生き残った意味だと思い違い。これが生き恥っていうものなのね。そんなザマになるくらいなら、とっとと死んだほうがマシ。生きることの意味なんてねーんだよ、もともと。たまたま生きているだけに過ぎない。理由なんて、そんなもん。世界だって、たまたまこうなっただけ。これからも、たまたまどうにかなるんだわ」

小説情報

ポポププ ―ポスト・アポカリプス・プリンセス―

壱原優一  @yu1hara

執筆状況
連載中
エピソード
8話
種類
作品
ジャンル
ファンタジー
タグ
ポスト・アポカリプス, 日常, オリジナル, コメディ, ファンタジー, 脳内妹, 教祖, みんなおかしい, きゃらふと大賞
総文字数
8,283文字
公開日
2017年08月04日 15:19
最終更新日
2017年08月15日 16:46
レビュー数
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作者プロフ

壱原優一  @yu1hara

カクヨム他で小説書いてます。
主なジャンルは妖怪、百合、異能バトルなどです。
王道です。ポポププはどれにも属さないけど。

カクヨム:https://kakuyomu.jp/users/yu1hara

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2017年08月15日 16:46 更新

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